県産材「北信濃の杉」の家　NPO-＃007

Misato／AZUMINO／2010

　安曇野市の南西部、松本市に程近い住宅地。近くにＪＲ大糸線の一日市場駅がある。以前からの既存集落とその周りでは近年「安曇野ブランド」として宅地分譲化が急速に進み、１０年前とは違った風景になってきている。今回の計画はお客様のご両親が以前から住まわれていた住宅を取り壊し、新たに若夫婦世帯の住宅としての建替えである。
　「信州木造り工房」の第七作品目。

敷地面積１１０坪という恵まれた条件を活かし、東西に長く広がるプランを提案。屋根形状は切妻で庇を深くし、シンプルな箱型ではあるが優雅さを醸し出している。外壁のそとん壁の「白」を基調とし、玄関ポーチの列柱と羽目板の「グレー」が外観のアクセントとなっている。
　室内は、玄関からリビングへと土間が繋がり、中央に吹抜を設けたことで空間が上下左右へと広がり、４０坪という床面積以上に距離が感じとれる。階段下には収納付畳ベンチを設けデットスペースとなりやすいゾーンを無くす工夫を凝らしている。
　二階の西側に並んで配置された子供部屋からは安曇野のシンボルである常念岳を観ることができる。子供部屋とホールとの間の収納は、扉の位置を変えることにより当面はホール側からの収納やデスクとして利用し、将来個室として子供部屋が機能するときにはクローゼット兼デスクとして利用できるようにデザインされている。
　土間に置かれたペレットストーブと吹抜けによって、柔らかく包み込まれるような空間が生まれ、家族の団欒が聞こえてくる。そんな優しさがこの家にはある。

DATE
所在地：安曇野市三郷
主要用途：住宅
設計／施工：やま秀 田中建設 + 建築工房 アーキクラフト
構造／工法：木造在来軸組工法
延床面積：135.39 m2（40.96坪）
竣工：2010.02