築15年-新築の家
Wakaho/NAGANO/2013
長野市郊外の南東部、市街化調整区域内の既存集落。計画建物は明治時代に建てられた築100年を超える民家のリノベーションを15年、延べ10回計画されてきた。今回がその1幕の最終章である。既存住宅の場合、その計画は大きく分けて4つのケースが考えられる。①は解体新築、②は増改築、③はリノベーション、④は移住。
今回お客様の要望は、先祖代々の歴史ある住まいを当たり前のように簡単に解体、そして新築とはしたくないということであった。また、家族の健康や繁盛があるのは家相あってのこと。そのことを充分配慮した計画が求められた。住みながら傷んだところ、不便なところを直して維持していく交換していく住まいの提案がこのリノベーション計画にはぎっしりと詰まっている。10回の計画を遡ると、①10本の通し柱による大屋根、②下屋、③2F床、④1F西、⑤1F北東、⑥2F内装、⑦1・2F内装、⑧玄関、⑨外壁。そして本計画の10回目、今回は1F和室三間と広縁のリノベーションでる。
本計画を通じて改めてスクラップビルドという日本の今の住宅産業のあり方を考えさせられた。コンピューターゲームのように、リセットすることに慣れてしまっている現代人。おそらく昭和の初めまではそんな文化は日本人の思考回路になかったはずであろう。
もしかしたら特殊解であると思われがちな本計画は、これからの住まいのあり方のトップランナーかもしれない。そんな気がしてならない。
DATE
所在地:長野市若穂
主要用途:住宅+アトリエ
設計/施工:やま秀 田中建設 + 建築工房 アーキクラフト
構造/工法:木造在来軸組工法
延床面積:343.26m2(103.84坪)
竣工:2013.10