県産材「北信濃の杉」の家 NPO-#010
Hoyasu/NAGANO/2010
長野市の北東部、千曲川沿いの既存集落に隣接した8区画の分譲地である。敷地周辺はりんご畑と水田といったのどかな景色に囲まれている。市街化調整区域で農業振興地域という条件から隣接する田畑には建物が当分の間建設されることはないことも条件としては良い。
「信州木造り工房」の第十作品目。今回の住宅は、ご夫婦2人のシンプルな生活を、平屋という現代では贅沢な空間で提案している。床面積20坪、個々の部屋が小さい分、間取りを日本文化としての田の字型プランとすることで部屋の大きさに可変性を持たせている。結果的に最小4.5畳から最大21畳という部屋ができ、空間に動きがみられる。片流れ屋根によりロフトが生まれ、7.5畳という充分な収納も確保している。
外観は東西の両袖壁をやや斜めにして左官仕上げの「そとん壁」とし、北側全面とキッチンの空間を杉の板壁とすることで形態に表情を造り出している。キッチン部分の板壁は室内にもつながり、リビングダイニングとは独立した「木箱のキッチン」としている。
お客様のライフスタイルとして南側の庭には菜園がつくられ、ウッドデッキを介して内外の空間が繋がる。ここで刻まれる時間(とき)は、決してあわてることなくゆったりと流れていくであろう。
DATE
所在地:長野市穂保
主要用途:住宅
設計/施工:やま秀 田中建設 + 建築工房 アーキクラフト
構造/工法:木造在来軸組工法
延床面積:61.69m2(18.67坪)
竣工:2010.05