古屋再生

Hirabayashi／NAGANO／2005

　長野市の中心市街地、幹線道路から１００m程入った住宅地。隣接道路が袋小路になっている事もあり、比較的静かである。敷地は三面道路で囲まれているが、どれも４m以下のいわゆる道路後退が必要とされる二項道路である。住宅は築４０年といった建物で建替えも考えたが、道路後退に付属建物、樹木や塀の解体撤去も考えると、大規模なリノベーションができないものかとお施主様は業者選びに何十社と足を運び、最終的に当社の企画プランと過去の実績から創意が一致し、計画がスタートした。

　 計画当初、住宅に付属する土蔵はかなり老朽化が進んでおりお施主様は取り壊ししかないと考えられていたが、リノベーションすれば充分有効活用でき、その存在は「古家再生」のコンセプトの重要なファクターとなっている。敷地内にある住宅、土蔵、貸家、ガレージ全ての工事をその場所で生活しながら1年をかけて行った。リノベーションは新築とは違い、建物に歴史と思い入れがある。そのエッセンスをできるだけ引き出し、これからのライフスタイルと融合させる形でプランニングの中で取り入れるよう心がけている。具体的に土蔵では土壁と小屋梁を、住宅では紅梁と欄間、落とし掛けといったエッセンスである。

　外壁は塗り壁+羽目板の使い分けで土蔵と住宅を一体的に表現し、和風モダンの様相を呈している。 結果的に完成した建物は、訪れた人誰もが新築と見違えるようなものとなっている。ただ、よく見るとその中には何とも表現しがたい歴史が刻まれており、４０＋１歳の趣を醸し出ている。

DATE
所在地：長野県平林
主要用途：住宅+土蔵
設計／施工：やま秀 田中建設 + 建築工房 アーキクラフト
構造／工法：木造在来軸組工法
改修面積：228.57 m2（69.14坪）
竣工：2005.09